解放。秋晴れの空へ。

澄んだ青空に、97歳の祖母が昇っていった。
寂しいとか悲しいとかよりも、今は、安堵と後悔の気持ちの方が強い。

f21oct2016_1.jpg

私の母が突然逝ったのは7年前。
母と暮らしていた祖母がひとり残され、
祖母にとっては孫、私にとっては弟の家族と同居することになった。

弟と私の家は車で5分の距離。
双方が連携して、祖母をサポートする生活の始まりだった。


母の存命中や同居開始当初の祖母は、
年の割には元気で、ほとんど手がかからなかったけれど、
その後どんどん衰えていった。

弟の家での暮らしを柱に、私の家での滞在や連泊、
程なくして、介護保険制度のデイサービスやショートステイも開始、
それぞれの家庭事情と、祖母の具合や財布事情を踏まえ、
今何がベストなのかを模索してきた。

祖母の動作は恐ろしく緩慢で危なげになり、記憶は曖昧になり、失われていく。
祖母をいたわるとか孝行するとか、そんなきれいなことじゃなくて、
苛立ったり葛藤したりの繰り返しになっていった。
少なくとも、私は。


ここ1年の祖母は、
5分前に言われたことも、懐かしい出来事すらも思い出せなくなっていた。

それでも、自分で箸を持って食事をし、
なんとか自力でトイレにたどり着く力があったんだから、
あっぱれな97歳である。


そして先日、
生物としての全機能を使い果たしたかのように、硬い殻をするりと脱ぎ捨てた。

f21oct2016_2.jpg

私たち姉弟と祖母の間に、血のつながりはない。
だから、顔や姿はもちろん、
穏やかで控え目で我慢強い祖母の性格だって似ていない。
でも、共に暮らした長い年月で、その魂を受け継いだと思っている。


ばあちゃんはあの時、何を言いたかったのかな。
何度も何度も何か言ってたのに、どうしても聞き取れなかった。
ごめん。

私はいつも怒ってばっかりで、ちっとも優しくなかった。
私は、生まれてからずっと優しくしてもらったのに。
ごめん。
ありがとう。


面と向かってちゃんと言えない、可愛げのない孫でごめん。


私が小さい頃、
味噌汁に入っていた貝の殻を使っておはじきをしたね。
畳の上に2人で座り込んで笑っていた光景が、
まるで絵を見ているように浮かんでくるよ。


ばあちゃんのけんちん汁が、世界でいちばんおいしかったよ。


ばいばい、またね。


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最大の功労賞を、弟のおよめちゃんに捧ぐ。
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2016-10-21 : 非日常 : コメント : 20 : トラックバック : 0
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2016-10-21 11:54 : : 編集
No title
お悔やみ申し上げます

綺麗事ではすさまされない介護問題ですよね
けんちん汁の味を覚えてもらっている事が何よりの供養に
なるのではないでしょうか

おばあ様もご家族の皆様も本当にお疲れ様でした
2016-10-21 12:23 : モグ母 URL : 編集
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2016-10-21 15:22 : : 編集
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2016-10-21 15:32 : : 編集
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2016-10-21 17:35 : : 編集
No title
認知がどんどん進んでいる私の母と
自分や一緒に暮らしている妹と
miyukiさんの思いが重なって
涙が出ました。
わかっているのにだんだん優しく
できなくなる。
つい怒ってばかりになる。
後悔しないようにしなくちゃ。
今日は泊まりにきてるんです。

おばあちゃんとの別れ、お悔やみ申し上げます。
2016-10-21 23:34 : くーちゃん URL : 編集
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2016-10-22 08:41 : : 編集
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2016-10-22 09:45 : : 編集
No title
心よりお悔やみ申し上げます。

複雑な心情と事情が垣間見えて、掛けるべき言葉が見つかりません。
miyukiさんが今抱えている安堵と後悔のお気持ちを、
少しずつでもご自身で昇華できるよう祈るばかりです。

97年の人生を生き抜かれたおばあ様。
介護に携わり、看取られたご家族の皆様。
本当にお疲れ様でございました。
2016-10-22 15:10 : renkon URL : 編集
鍵コメ『み』さんへ
はじめまして。
ようこそおいでくださいました!
ご訪問だけでなく、お気遣いまでもいただき、本当にありがとうございます。

その時の最善・・・ほんとその通りですね。
今は無理でも、時の流れに乗っていくうちに、
「でもさ、ばあちゃん。私たちだって頑張ったんだよ!」って、
空に向かって笑えるようになるといいなと思います。

またぜひ遊びにいらしてくださいね♪
2016-10-22 16:05 : miyuki URL : 編集
モグ母さんへ
ありがとうございます。

せっかちな私は『待つ』ということが不得手で、
つい急かしてしまうことが多くて。
言葉にしなくても、顏にも態度にもドーンと出てたと思うのです(´・ω・`)

ばあちゃんのけんちん汁、うちの子にも食べさせたかったな・・・
2016-10-22 16:10 : miyuki URL : 編集
鍵コメ『L』さんへ
祖母はとーーーーっても穏やかな人で、
声を荒げて怒る姿なんか見たこともありませんでした。
認知症になると、それまでとは打って変わって暴力的になる人もいるようですが、
祖母は、いるのかいないのかわからないような認知症でした(笑)
それもまた、最期まで在宅でいけた理由だったかもしれません。

もっと出来の良い孫なら良かったのですが、
そのぶん、出来る孫嫁が踏ん張ってくれました。
ただひたすら感謝です。

お気遣いありがとうございます!
2016-10-22 16:21 : miyuki URL : 編集
鍵コメ『あ』さんへ
ようこそおいでくださいました。
的外れだなんてとんでもない!
その気持ちを知っているからこそのお言葉、胸に響きます。
うまく言葉にできないもどかしさにも共感です。

たぶん、後悔が消えることはないと思うのですが、
「私だって頑張ったもん!」って、
空に向かって開き直ることはできるようになるかなと思うんです(笑)
そしたらきっと、「お前はまたそんなこと言って〜(´−`*) 」って、
困ったような笑顔で返してくれると思うんです。
いつか、きっと。

お気遣いも、光栄なお言葉も、ありがとうございます。
またぜひいらしてくださいね♪
2016-10-22 16:30 : miyuki URL : 編集
鍵コメ『M」さんへ
だってもう、ほんとにね、
自分で自分が情けないことばっかりで、夜、湯船に浸かって何度反省したことか。
反省したのに同じことを繰り返して、
自分の器の小ささを思い知りましたもん(笑)

育児時代にも同じ気持ちになってるんですけど、
それって、成長してない証ですね〜(*-ω-)

祖母の身体が不自由になっていくよりも、
私の幼少時代の記憶を共有できなくなったことのほうがショックでした。
感情の占める部分って、とても大きいですね。

優しいお言葉とお気遣いに、甘えさせていただきました。
心が軽くなります。
ありがとうございます。
2016-10-22 16:44 : miyuki URL : 編集
くーちゃんさんへ
ありがとうございます。

昨日はお泊りデーだったんですね。
うちも週末はその予定だったので、
肉じゃがとかうどんとか、
ばあちゃんの好きなおかずの具材が冷蔵庫に入ったままです。

優しくしたいのに・・・
その思いがあるうちは、踏ん張れる気がしますね。

くーちゃんさんも、くれぐれもご自愛くださいますよう・・・
2016-10-22 16:50 : miyuki URL : 編集
鍵コメ『K」さんへ
孫である私より、およめちゃんのほうがしんどかったろうと思うのです。
私にはたくさんの思い出があるし、これまでにしてもらったことも多いし、
ある意味『仕方ない』と思える要素があるけれど、
およめちゃんはそうではないのですから。

メインになるはずの兄弟がぎくしゃくしてしまうと、
相当なご苦労があるのではないかと思います。
そんな中でお気遣いくださって恐縮です。
でも、お嫁さんの側からそうおっしゃていただけるとなんだかホッとします。
ありがとうございます。

ばあちゃんが旅立ったのは、ほんとにきれいな青空の日でした。
ちなみに、人一倍騒々しかった実母の旅立ちの日は、台風でした(笑)
2016-10-22 17:00 : miyuki URL : 編集
鍵コメ『H」さんへ
ありがとうございます。

60代だとお身体もまだ達者でしょうし、
周りは、気苦労だけでなく身体的にもお疲れになるのでは・・・
でも介護認定は低かったりするし、
こういうケースがいちばん大変なのではないかと(´・ω・`)

年をとって誰かの手が必要不可欠になった時に、
これまでの、本当の意味での人間関係が表面に出てくるのでしょうね。
実は、今回の件の直前にもう在宅は無理ではないかということが重なり、
いろんなところの資料請求をし、実際に見て回っていた矢先だったのです。
その時、職員さんと話をする中で、
入居者の方々の様々な事情をちらと聞いたりもしました。
自分自身のこれまでとこれからを、考えざるを得ませんでした。

台所の主Gは、あらゆる耐性を身につけて進化しますからね〜(笑)
なのに、
昔ながらのホイホイにつかまっちゃうところがかわいいですよね〜(*・艸・)
2016-10-22 17:18 : miyuki URL : 編集
renkonさんへ
ありがとうございます。
私の吐き出す言葉を、あたたかく優しい言葉で包んでくださって、
こんなにありがたいことがあるでしょうか。

急変前日まで、自分の手で箸を持ち、自分の足でトイレに行こうと頑張り、
我慢を重ね、必死に生き抜いた大正女に祝杯を。
2016-10-22 17:26 : miyuki URL : 編集
No title
こんにちは。
コスモス、良く撮れていますよ。
綺麗ですね。

コスモス⇒秋桜ともいいますものね。

今がシーズンでしょう。
2016-10-23 08:51 : G&G URL : 編集
G & Gさんへ
こんにちは! & ありがとうございます♪

細い茎が風でふらふらするので、何度か撮り直しました(‘-’*)
来年は、どこかコスモス畑へ撮りに出かけたいという野望を抱きました(笑)
2016-10-24 13:07 : miyuki URL : 編集
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miyuki

Author:miyuki
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飾った雑貨を眺めてニヤつき、
何度失敗しても懲りずに植物を育て、
へたの横好きで編み物をし、
合間に何かを読み散らかした挙句、
結局は全部放り投げてわんこと遊ぶ。

自己流と自己満足と適当万歳な暮らし。

今も昔も愛知県在住、
40代・♀・O型・ふたご座・左利き。
好きな言葉は『なんとかなる』

あんは2009年4月3日生まれ

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